（ 2006/02/15） 過ぎてしまったけれども

バレンタインネタ。コナン。
じりじり追加して行きますので、終わったらお持ち帰りくださいな。

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　銀行で金を下ろしたら、チョコレートが付いて来た。
　今日はバレンタインだったか、溜息と共にそれをポケットに仕舞う。
　工藤新一は甘いものが好きでは無い。ビターまでならいいのだが、今貰ったそれはミルクチョコにいちごのチョコを挟んだ三段重ねの分厚い一口チョコだった。小さくても、これが実に甘いものであることは、同居人の好物である事が証明している。
　そういえばその同居人、朝からキッチンに篭もっている。
　工藤家では家事は彼の仕事なのだが、それにしても何やら鬼気迫る勢いで調理器具を鳴らしていた。彼は大学に入るまで日本のバレンタインデーを殆ど理解していなかったという者凄い経歴の持ち主だが、お祭騒ぎと甘い物が何より好きな彼のこと、果たして何が用意されるのか今から不安だ。

（夜はチョコレートフォンデュとかいわねぇよな…？）

　以前バラエティで出て来たチョコレートの噴水を見て、その瞬間購入しようとした馬鹿である。あの時は友人二人の手もあって止める事が出来たが、今回はどうだろうか。
　苦い顔になりつつも、新一は家路を急いだ。





　予想通りというか、ドアを開けた途端、チョコレートの甘い香りがぶわりと飛び出してきた。それだけでもう胸焼けがする。
　扉の影で大きく深呼吸する新一を出迎えるスリッパの音が一つ。

「新一おっかえり～！！　寒かったでしょ、今コーヒー入れるからリビングで待っててッ」

　現れたのは黒のシンプルなエプロンをつけた同居人・黒羽快斗である。
　しかし、彼の背後からは何やら話し声らしきものが聞こえる。
　たたきに目を落とせば、どうやら女性ものらしい靴が二つと、男性の革靴が一つ。

「ただいま……快斗、これ、」
「ん、後できちんと説明するから、取り敢えず上がっちゃいなよ。まだ外寒かったでしょ」

　にっこり笑って腕を引かれ、そのまま済し崩しにリビングへと連行されてしまった。



...come soon...